目次
APIとは?定義やメリット・デメリット
APIとは?
API(エーピーアイ)とは、「Application Programming Interface(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)」の略で、異なるソフトウェアやアプリケーションが互いに通信し、データを連携させるための接続部分のことをいいます。APIは、アプリケーション間のインターフェースとして機能し、開発者が特定のサービスやプラットフォームの機能を利用できるようにします。
APIの主な目的は、異なるソフトウェアが互いに連携し、情報や機能を共有することです。たとえば、ウェブサイトが天気予報を表示するために、外部の天気情報サービスのAPIを使ってデータを取得することがあります。
API連携の流れ
サービス同士をAPI連携することで、リアルタイムなデータ連携が行えるようになります。APIを利用するためには連携したいサービスのAPIを提供する企業よりサービスの情報を登録し、必要なAPIキーとシークレットを取得します。その後指定されたURLへAPIを利用するためのリクエストを送信し、取得したAPIキーをサービスに設定できれば連携が完了します。
自社独自に開発したシステムとベンダーが提供しているサービスを連携することが可能なため、比較的自由にカスタマイズして連携を行うことができます。
サービスによってはAPIが非公開で連携することができない場合や、API連携を行うにあたりサービス提供企業に費用を支払うことがあるため確認が必要になります。
API連携のメリットとデメリット
APIの特徴や種類について前途しましたが、活用の際のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
効率的なデータ共有
API連携の一番のメリットは、異なるシステムやアプリケーションを簡単に繋ぐことができることです。既存のサービスやアプリケーションの機能をAPIを通じて利用することで、新しいアプリケーションに簡単に機能を追加できます。
例えば、ある会社の顧客管理システムと会計システムがAPIで連携されると、顧客の情報が自動的に会計システムに転送されるため、手作業でのデータ入力や転記する手間がなくなり、業務効率が大幅に向上します。
リアルタイムなデータ連携
APIを使うと、リアルタイムでデータを取得・更新できます。これにより、最新の情報に基づいた迅速な意思決定が可能になります。
コスト削減
社内に開発技術のある人材がいれば外注コストをかけずにサービス同士の連携を行うことが可能です。API連携であれば毎月のコストが掛からないことがほとんどで、ランニングコストを抑えることができます。しかし、APIを活用すること自体に費用が発生するサービスもあるため、その場合は事前に確認が必要です。
デメリット
専門知識・技術が必要
API連携にはデメリットもあります。まず、APIを連携するためには専門的な知識が必要です。異なるシステム同士を連携するためには、プログラミングの知識が求められることが多く、設定や管理・メンテナンスに大幅な時間とリソースがかかります。
セキュリティ面の対策
また、セキュリティのリスクも考慮しなければならず、異なるシステム同士がデータを連携するため、情報が外部に漏れないように対策をすることが重要です。さらに、連携しているシステムのアップデートにより、API情報が更新されてしまうと正しくデータ連携が行われないことがあるため、定期的なメンテナンスや確認が必要です。
API連携は業務効率化に非常に役立ちますが、社内に有識者がいない場合は人材を採用することや外注サービスを活用するなどして、セキュリティ対策やメンテナンスをしっかり行うことが大切です。その場合は大幅なコストがかかるため、費用対効果を確認し企業にとって必要かを考え導入を検討しましょう。
iPaaSとは?定義やメリット・デメリット
iPaaSとは?
iPaaS(アイパース)とは、「Integration Platform as a Service(インテグレーション・プラットフォーム・アズ・ア・サービス)」の略で、異なるクラウドサービスやアプリケーションを一元管理し、データを自動的に連携させるツールです。
iPaaSは、APIを活用して、さまざまなサービスやアプリケーションを効率的に接続し、統合することが可能です。
これにより、複数のクラウドサービスに同じデータを手入力していることや、リアルタイムでのデータ更新が自動化され、社内の大幅な業務効率化を実現します。
iPaaS利用の流れ
iPaaSは、異なる複数のクラウドサービスやアプリケーションを連携し、自動でデータを連携することが可能です。API連携のようにプログラミングの知識や開発技術は必要なく、ノーコード・ローコードでサービス同士の連携ができるツールがほとんどです。
そのため、iPaaSのアカウントを作成し、接続するシステムの情報やデータフロー、自動化プロセスを設定したら、最後に設定をテストして本番環境にデプロイするだけで完了します。
iPaaSでできることの例として、メールできたお問い合わせ情報をCRMとGoogle スプレッドシートの両方に同じ情報を手作業で転記入力していた場合、その単純作業にリソースが割かれてしまうことや、漏れやミスなどのヒューマンエラーが発生してしまいます。
しかしiPaaSで連携することで、メールを受信した際に自動で顧客情報や問い合わせ内容をCRMとGoogle スプレッドシートの指定の箇所に更新することが可能になります。
PCの裏側で作業を行ってくれるので、普段の業務を妨げることなく作業を自動化することが可能です。
また、リアルタイムにワークフローを実行することが可能です。予めiPaaS上でどのようなアクションをきっかけにし、何のデータを別のクラウドサービスに連携していくのか設定します。前述したように「メールを受信したら」というアクションをきっかけとし、ワークフローを自動で動かすことができ、件名やメールアドレスなどアクションを起こす際の条件設定を行うことで、より明確にワークフローを組むことが可能です。
iPaaSのメリットとデメリット
メリット
ノーコード・ローコードでの運用
iPaaSはローコード・ノーコードで利用できるツールが多く、専門的な知識がなくても扱うことができるため、情報システム部がない企業でもクラウドサービスやアプリケーション間のデータ連携が可能です。
アプリケーションを新しく導入した場合も、iPaaSで迅速に他のアプリケーションやシステムと繋ぐことができます。
そのため、データ連携やメンテナンスにかかる開発費用や工数もなく、低コストで導入できるというメリットもあります。
自社サーバーの負担軽減
処理するデータ量が膨大になるほど連携の際に自社サーバーへの負担が大きくかかり、場合によってはサーバーの増設や整備等が必要になりますが、iPaaSはクラウドサービスのため自社サーバーに負担をかけずに運用できます。
一連の業務を自動化できる
iPaaSは複数のサービスの連携を簡単に行うことができるため、一連の業務フローの自動化が可能です。たとえば、メールで受信した注文書をサーバーに保存し、注文書のデータをシステムに入力するなど業務の一連の流れを自動化することで、手作業の削減とエラーの防止が可能になります。
デメリット
APIが公開されていないと利用できない
iPaaSのデメリットは、APIが公開されていないクラウドサービスやアプリケーションとの連携が不可能な点です。iPaaSを導入する際は連携したいサービスの機能がAPI公開されているかを確認することが必要です。
サービスによって専門技術が必要な場合もある
導入するiPaaSによっては専門的な知識を必要とするツールもあるので、運用担当者の知識レベルに合わせてツールの選定をしましょう。
iPaaSとAPI連携の主な違い
iPaaSとAPIは、どちらも異なるアプリケーションやシステムを連携させるために使われますが、その目的や機能、使用方法には明確な違いがあります。以下に、iPaaSとAPI連携の主な違いを表にまとめました。活用する際はどちらが自社にあっているか、特徴やコストなどを確認して決定しましょう。
API連携 | iPaaS | |
---|---|---|
目的 | 特定の機能やデータにアクセスするための方法 | 異なるシステムやアプリケーションの統合と自動化 |
特徴 | ・APIが公開されているクラウドサービスやアプリケーション、システムなどのサービスを連携することが可能 ・ソフトウェア間の通信インターフェース ・各サービスの機能を拡張するために活用される連携方法 |
・複数のクラウドサービスやアプリケーションを連携するための統合プラットフォーム ・一連のワークフローの自動化が可能 |
リアルタイム性 | ◎ | ◎ |
知識・技術の必要性 | プログラミングの知識や開発技術が必要 | プログラミングの知識は不要でドラッグ&ドロップで簡単に設定できる |
連携コスト | ・社内開発の場合:不要(人件費のみ) ・外注の場合:数十万~数百万円 |
・月額費用:数万円~ ・ユーザー課金:数千円~ 上記のどちらかが多い |
カスタマイズ性 | ・2つのサービス同士の必要な機能に特化してデータ連携を行うことが可能 |
・複数のサービスを掛け合わせてワークフローを組むことが可能 ・取得したデータの変換や、条件に合わせたサービス連携など、幅広くカスタマイズが可能 |
連携可能なサービス・機能 | ・APIが公開されているものであればどのサービス・機能でも連携が可能 | ・iPaaSによって異なるが、サービス内で連携が可能なサービス・機能のみ連携ができる ・データ変換・条件分岐などの機能がある |
メンテナンス | API情報の変更があれば、都度開発者が対応する必要がある | ベンダーがAPI情報の変更やエラー対応を行う |
iPaaSは、複数のシステムを統合してデータを一元管理し、自動化するためのプラットフォームであり、ノーコード/ローコードで操作可能なため、技術的な障壁が低いのが特徴です。一方、APIは特定の機能やデータへのアクセスを提供するインターフェースで、プログラミングの知識が必要ですが、柔軟で独立したサービス連携が可能です。
iPaaSとAPIの関係性
iPaaSはクラウドサービスやアプリケーションが公開しているAPIを利用してデータ連携を行うプラットフォームです。iPaaSのシステム内で複数のアプリケーションがAPI連携されている状態のため、iPaaSを利用する際はノーコードでドラッグ&ドロップで操作するだけで連携が可能になる仕組みとなっています。
そのため、APIが存在しないものや非公開にされているクラウドサービスやアプリケーションの場合はiPaaS上で連携を行うことが不可能です。
iPaaSの活用事例
APIとiPaaSのそれぞれの特徴やメリット・デメリットについて分かったように、iPaaSはノーコードでAPI連携を行うことが可能なツールです。ここでは、iPaaSのビジネスでの活用事例をご紹介いたします。
発注メールをGPTで要約し、スプレッドシートに整理
クライアントから送られてくる発注依頼メールを受信し、その内容をOpenAI社のGPTで要約し、項目ごとに整理をしたうえでスプレッドシートに転記入力する作業を自動化することができます。
メールの内容がフォーマット化されておらず、記載方法がクライアントごとに異なる場合、単純にコピー&ペーストで内容を取得することができないためRPAなどでは自動化が難しい状況でした。しかし、生成AIを活用してメールの内容を「いくらのどの商品が〇個」と解析し、商品名・値段・個数・・・など項目ごとに判別が可能になります。
メールツールとGPT、Google スプレッドシートで連携することで、リアルタイムに発注依頼を更新することができその後の処理もスムーズに行うことができます。
手作業で行うと漏れの発生や他業務を優先し対応が遅れてしまうなどの課題がありましたが、iPaaSでデータ連携を行うことで人力を使わずに自動で行うことができ業務効率化につながります。
プロジェクト・案件ごとにフォルダ作成
プロジェクトや案件ごとにクラウドストレージにフォルダを作成し、必要な書類や管理表、画像などを保存する必要がある部署では、さまざまな部署で活用する場合関係者が使いたいときにフォルダが作成できていないなどのトラブルが発生してしまいます。また、人の手作業で行うと決まった命名規則と異なった名前で作成してしまい、フォルダの整頓が大変になるなど工数がかかってしまうことが課題でした。
しかし、iPaaSを活用することで自動でフォルダを作成し、漏れをなくすことや命名規則に沿って名前を付けることができるので、見やすいフォルダ一覧になり利用者にとって業務改善につながります。
アポイント獲得後、カレンダーへ登録
営業担当者がアポイントを獲得後、SFA/CRMとカレンダーにスケジュールを登録する作業があります。ルーティン作業ではありますが、煩雑でありアポイント1件ごとに工数がかかっていました。
iPaaSを活用することで、kintoneやSalesforceなどのSFA/CRMにアポイント情報を登録し、Googleカレンダーに予定を入れるという作業を自動化することが可能です。
カレンダーへの登録漏れが減少したり、アポイント1件当たりの作業時間が短縮され、より多くのアプローチが可能になったり、生産性の向上につながります。
請求書をフォルダに保存
受信した請求書を指定のフォルダに保存する作業がありますが、請求書が送付されても見落としてしまうことが発生します。
iPaaSでは、件名に「請求書」と記載のあるメールに添付されているPDFデータをGoogleDriveやBOXなどに保存する作業を自動化することができます。その際は、メールの内容などから会社名などを取得し、ファイル名に会社名と受領日などを付けて保存することも可能です。
作業担当者の見落としも防止し、見落としてはいけないというプレッシャーからも解放されます。
イベント情報をカレンダー登録
マーケティング部での施策の中で、セミナーやイベント、メール配信を行う日程をGoogle スプレッドシートにて管理しており、社内で共有する必要があるためカレンダーに登録する作業があります。毎月行う作業で10件以上の登録が必要なため、単純作業ではありますが作業工数がかかっていました。
iPaaSを活用し、Google スプレッドシートのイベント管理表を更新したら、自動でGoogleカレンダーに登録を行うことが可能になります。
空いた時間は他の施策を実施するために活用することができ、業務改善につなげることができます。
APIの活用事例
WEBサイトの情報を自社アプリに掲載
一般的に公開されているニュースや天気などを自社アプリケーションに表示させることが可能です。
API連携がされていることで取得元のWEBサイトでの掲載内容が変更になった際も、リアルタイムに更新され常に最新情報を掲載することができます。
ECサイトで利用している決済情報が他サイトでも活用できる
例えば、はじめて買い物をするECサイトで買い物をする際に、決済方法のなかに「Amazon Pay決済」や「楽天ペイ」などを選択ができることがあります。選択すると自動でAmazonや楽天に遷移し連携の許可を促すページに遷移し、許可をすると各サイトで登録している決済情報を活用でき、買い物をするサイトでわざわざクレジットカード情報を入力する手間がなくなります。
こういった便利な機能もAPI連携によって可能になっており、ECサイトの利用者にとっても簡単に買い物ができることが大きなメリットになります。
iPaaSに向いているケースとAPI連携が向いているケース
iPaaSに向いているケース
複数サービスの連携が必要な場合
複数の異なるアプリケーションやサービスを連携する必要がある場合、iPaaSが向いています。iPaaSはさまざまなサービスを一つのプラットフォーム上で統合し一元管理することができるツールです。
複雑なワークフローを組む必要がある場合
取得したデータを連携先のサービスに合わせた形式に変換し、連携を行うことができたり、条件によって異なるサービスに連携することが可能なため複雑なワークフローを組む必要がある場合はiPaaSを活用することがおすすめです。
社内に開発技術をもった社員がいない場合
iPaaSはドラッグ&ドロップで簡単にワークフローの作成ができサービス同士の連携が可能になります。そのためプログラミングの知識や開発技術を持っていない方でも簡単にデータ連携を行えます。業務担当者レベルで活用できるツールなので、情報システム部がない企業でも便利に活用できるツールです。
低コストで複数のサービスを連携したい場合
iPaaSはクラウドサービスのため比較的ランニングコストが安価です。サービスによってはユーザー無制限で月額費用が数万円であったり、ユーザー単位で一人当たり数千円の費用が発生する場合、作成するワークフローの数で費用が変わる場合などさまざまで、どれも月間数万円以内に収まることが多いです。
社内に開発技術者がおらずAPI連携を行う際は外注しなければならない、いくつものサービスを連携する必要があるという場合は、外注コストが1つの連携あたり数十万~数百万円かかることが一般的なため、コストを抑えられるiPaaSが向いています。
API連携が向いているケース
特定のシステム間のデータ連携が必要な場合
特定のシステム間で直接データ連携を行う場合はAPI連携が向いています。APIを使うことで、必要なデータをリアルタイムで取得・更新することができます。さらに、必要な機能だけを連携することで、データ取得の際に発生するAPIトークンの消費コストを抑えることができます。特定のタスクやデータ取得に集中することで、無駄なコストを削減できます。
高度なカスタマイズが必要な場合
サービス間の連携において細かい制限事項やカスタマイズが必要な場合はAPI連携が適しています。社内の規則でセキュリティの設定が細かく必要である場合は、自社の規則に合わせたカスタマイズができるAPI連携が向いています。
社内に開発技術者がいる場合
プログラミングの知識や開発技術をもった社員がいる場合、APIを活用したデータ連携がおすすめです。外注コストがかからず社内リソースを活用することができるので、低コストで連携が可能です。
まとめ
iPaaSはクラウドサービスやアプリケーション同士のAPI連携を簡単に行うことができるプラットフォームです。今後業務効率化やDX推進を行いたい企業には必見のツールです。
多くのツールではフリープランを提供しているものがありますので、まずは無料でお試しし、どのようなことができるのか自社での業務効率化が実現できるものなのかを確認し導入を検討しましょう。
iPaaSを活用することで、今までなんとなく手作業で行っていた面倒なデータ連携やコスト面で諦めていたAPI連携を実現することができる可能性があります。少しでも興味をお持ちでしたらiPaaSのベンダーに問い合わせ、自社の課題を解決できるものか確認しましょう。
iPaaSなら無料で使えるJENKA
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