目次
iPaaSとは?
iPaaS(アイパース)とは、「Integration Platform as a Service」の略で、複数のクラウドサービスやアプリケーション同士のデータ連携をリアルタイムで自動化するツールです。
例えば、メールで受信した請求書を指定のクラウドストレージに保存した後、チャットで完了通知を出したり、外部サイトやフォームからの問い合わせ情報を管理用スプレッドシートやSFA/CRMに自動で登録したり、一連の業務の流れを自動化することが可能です。
今まで手作業で行っていた作業を自動化したことで、作業工数や漏れの削減につながります。
多くの企業ではデジタル化・業務効率化のために複数のクラウドサービスやアプリケーションを導入していますが、管理が煩雑になり手作業が増えてしまっているという課題が発生しているケースがあります。そういった課題解決のためにiPaaSを活用することがおすすめです。
iPaaS活用のメリット
異なるSaaS間のリアルタイムなデータ連携が容易
iPaaSを活用することで、異なるSaaS(Software as a Service)間のデータ連携がスムーズになります。データの一貫性を保ちながら、各システムの情報をリアルタイムで同期できるため、手動でデータを移動する手間や、重複データの管理が不要になります。これにより、データの整合性を高め、迅速な意思決定を支援する環境が整います。
ノーコード/ローコードによる簡単な操作性
近年のiPaaSはノーコードやローコードツールが多く提供されており、専門的なプログラミング知識や技術がなくても、直感的な操作でデータ統合やプロセスの自動化が可能です。
ユーザーはドラッグ&ドロップの操作でシステムを設定できるため、開発時間が短縮され、システムの導入や変更に柔軟に対応できます。
これにより、情報システムやエンジニアなどのIT部門の負担が軽減でき、ビジネス部門が主導するプロジェクトの推進が可能となります。
業務フローの自動化による業務効率化
iPaaSは業務フローの自動化を容易にし、手作業による処理や重複作業を削減します。これにより、従業員はより戦略的な業務に集中でき、全体の生産性が向上します。また、自動化によってヒューマンエラーのリスクが減少し、データの正確性が向上するため、運用コストの削減とプロセスの信頼性向上が期待できます。
おすすめのiPaaS製品14選を比較
iPaaSは、サービスによって連携できるサービスや操作性が異なります。
本章では主なiPaaSとそれぞれの特徴や料金プランをまとめましたので参考にしてください。
Zapier
「Zapier(ザピアー)」は、アメリカのZapier社が開発・提供しているiPaaS製品です。Zapierの特長は、ノーコードで使えるインターフェースにより、さまざまなSaaSアプリケーションを簡単に連携できることです。特に、7,000以上のアプリと連携可能な点に強みがあります。
特徴
- プログラミングの知識なく利用できる
- 7,000種類以上のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- ワークフロー実行履歴がすべて残る
- 対応言語が英語のみ
料金プラン
プラン | Freeプラン | Professionalプラン | Teamプラン |
---|---|---|---|
月額費用 | 0円 | 4,715円 | 16,270円 |
ユーザー数 | 1 | 1 | 無制限 |
作成可能なワークフロー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ワークフローの実行間隔 | 15分 (1日あたり96回) |
2分 (1日あたり720回) |
1分 (1日あたり1,440回) |
1つのワークフローで連携できるサービス数 | 2つ | 複数 | 複数 |
サポート | なし | ・メールサポート ・ライブチャット |
・メールサポート ・ライブチャット ・プレミアサポート |
※その他Enterpriseプランもあります。
メリット
7,000ものクラウドサービスやアプリケーションとの連携が可能なため、自社で利用しているサービスが多く含まれている場合、広範囲での業務自動化が可能です。また、有償プランの中でも月額費用が約4,715円~と非常に安価な点は大きな特徴です。年間契約にすることでさらに費用を抑えることができるので、予算を圧迫せずに導入することができます。
デメリット
日本語対応をしておらず操作やサポートサイトなども英語表記のため、運用が困難・不便だと感じる人もいます。運用する担当者の英語力も考えたうえで導入を検討する方がよいでしょう。
また、一部の高度な設定をする場合はプログラミングの知識が必要な場合があります。担当者が運用するうえで自動化したい業務が実現できるのかを確認してから導入することをおすすめします。
Microsoft Power Automate
「Microsoft Power Automate(マイクロソフト パワーオートメイト)」は、アメリカのMicrosoft社が開発・提供しているiPaaS製品です。特長は、ノーコードでさまざまなアプリケーションやサービスを自動化し、業務プロセスの効率化を実現することです。特に、Microsoft 365やDynamics 365といった他のMicrosoft製品とのシームレスな統合が強みです。
特徴
- Microsoft製品と高い互換性
- 1,000種類以上のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- 未連携のSaaSでもAPI情報が公開されているサービスとの連携が可能
- RPAと連携しているためAPI連携が不可能なサービスとの連携が可能
料金プラン
プラン | 無料試用版 (30日間) |
Power Automate Premium | Power Automate Process | Power Automate Hosted Process |
---|---|---|---|---|
月額費用 | 0円 | 2,248円 | 22,488円 | 32,233円 |
契約単位 | – | ユーザー | ボット | ボット |
アテンド型デスクトップフロー(RPA) | なし | あり | なし | なし |
非アテンド型デスクトップフロー(RPA) | なし | なし | あり | あり |
標準、プレミアム、カスタムコネクタ | 標準コネクタのみ | すべて | すべて | すべて |
プロセスとタスクマイニング | あり | あり | なし | なし |
サポート ※日本語は営業時間内での対応 |
– | あり | あり | あり |
メリット
Microsoft 365と他サービスの連携機能が充実しているため、業務のメインツールとしてMicrosoft 365を活用しているユーザーにとって大幅な業務効率化につなげることが可能です。
また、RPAとの連携が可能なためAPI情報が公開されていないサービスや、API連携が不可能なシステムのワークフローを自動化することができます。
デメリット
海外製のSaaSとの連携が豊富にある一方、国産SaaSとの連携が少ないため実際に自動化したい業務フローが実現するかは予め調べる必要があります。
また、技術的なサポートに関してはプランによっては含まれている場合がありますが、1回ごとに費用がかかってしまう可能性があります。フリープランで試してみて、運用が可能か確認しましょう。
Biztex Connect
「Biztex Connect(ビズテックス コネクト)」は、BizteX株式会社が開発・提供しているiPaaS製品です。特長は、ノーコードで様々なシステムやクラウドサービスを連携し、自動化する機能を持つ点です。特に、日本国内の業務に特化した使いやすいUIと豊富な接続先が強みで、企業の業務効率化を支援します。
特徴
- 日本製のツールで国産のSaaS連携が充実
- 40種類以上のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- RPAと連携しており、API情報が公開されていないシステムの自動化が可能
- 設計画面のUIが分かりやすい
料金プラン
プラン | フリープラン | 有償プラン |
---|---|---|
月額費用 | 0円 | 要問い合わせ |
有効シナリオ数 | 5 | 10~ |
月間実行数 | 100回 | 1,000回 |
利用可能コネクタ | 一部のみ | すべて |
1つのワークフローで連携できるサービス数 | 2つ | 複数 |
サポート | チャット | チャット・メール |
メリット
日本製のツールのため、操作画面やサポートは日本語対応しています。また、主に日本製のSaaSとの連携がされているため、日本企業での活用に向いています。フリープランは一部のコネクタしか利用できませんが、主にバックオフィス業務に特化したSaaSとの連携ができ、有償プランにもあるチャットサポートを活用できるため導入前に自社での運用ができるか確認することが可能です。
デメリット
連携しているSaaSの数が限られているため、自動化したい業務フローで使いたいSaaSが連携できるのかを確認する必要があります。また、フリープランでは一部のSaaSのみ利用可能なため、活用を想定しているSaaSとの連携を試すことができない可能性があります。心配な点があればベンダーに確認する必要があります。
ActRecipe
「ActRecipe(アクトレシピ)」は、アクトレシピ株式会社が開発・提供しているiPaaS製品です。特長は、業務プロセスの自動化を簡単に実現できる点で、特にノーコード環境で多様なアプリケーションやクラウドサービスと連携可能です。また、日本企業向けに設計されており、業務効率化やデジタルトランスフォーメーションを支援する強みがあります。
特徴
- ノーコード/ローコードでSaaS連携が可能
- 日本製のツールでサポートは日本語に対応
- バックオフィス業務に活用できるSaaSを中心に連携
- 銀行APIとSaaSのデータ連携サービスを提供
- 既にワークフローが完成されているレシピが豊富
料金プラン
プラン | Free | Standard | Professional |
---|---|---|---|
月額費用 | 0円 | 50,000円~ | 要問い合わせ |
レシピの実行回数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
レシピの自動実行回数(日) | 1 | 無制限 | 無制限 |
レシピの自動実行間隔(分) | 1,440 | 無制限 | 無制限 |
サポート | – | あり | あり |
個別レシピ開発 | – | あり | あり |
組織管理機能 | – | – | あり |
監査ログ | – | – | あり |
パスワード管理 | – | – | あり |
ユーザー追加 | – | – | あり |
メリット
ActRecipeはバックオフィス業務で活用する経費精算システムや電子署名・電子契約サービス、電子申請システム、人事労務システム、与信管理サービスなどのSaaSを中心に連携をしています。さらにiPaaS唯一の銀行APIとの連携が可能なツールで、月締め処理の支払い処理や入出金明細の出力・保存などを自動化することができます。バックオフィス部門の業務フローの自動化を検討中の方におすすめのツールです。
また、レシピと呼ばれるワークフローのテンプレートが豊富に用意されておりプログラミングの知識が不要なため、初めてiPaaSを利用する方でも活用することが可能です。
デメリット
マーケティングや営業部門で活用できるCRM/SFAやMAツールなどのSaaSは未連携なので、バックオフィス部門の業務以外でも活用したい場合は実現できない可能性があります。予めどのような業務を自動化したいのかを洗い出し、フリープランで確認することが必要です。
Workato
「Workato(ワーカート)」は、アメリカのWorkato社が開発・提供しているiPaaS製品です。Workatoは、ノーコードおよびローコードで複数のアプリケーションを自動化し、効率的なワークフローを構築できることや、アプリケーションと接続できる「コネクタ」数が400種類以上あること、自動化ワークフローのテンプレート「レシピ」も22万以上と豊富な点が強みです。
特徴
- ローコード・ノーコードのインターフェース
- 1,000種類以上のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- ワークフローのレシピが22万以上あり豊富
- ユーザーコミュニティが用意されており、Workatoユーザーと意見交換が可能
料金プラン
プラン | 無料トライアル (30日間) |
ビジネス向けのWORKATO | 製品向けのWORKATO |
---|---|---|---|
費用 | 0円 | ワークフローごとに費用が発生(要相談) | |
ユーザー数 | – | ユーザー | ボット |
サポート | – | あり | あり |
メリット
1,000以上のコネクタがあるため自社で導入しているサービスがコネクタに多くある場合、自動化できる業務の幅が広がります。SalesforceやZoom、box、slackなど日本企業でも多く導入されているサービスがコネクタとして用意されています。
また、豊富なレシピがあり自動化したいワークフローを素早く組むことができます。レシピを新たに作成し保存できるため、他のユーザーに共有することが可能です。
デメリット
海外製のツールのため操作画面ではほとんど英語表記です。英語力が十分出ない場合、1つ1つ文言を調べて設定を進める必要があるため、運用が困難だと感じる可能性があります。
Boomi
「Boomi(ブーミ)」は、Dell Technologies傘下にあるBoomi社が開発・提供しているiPaaS製品です。日本では、Boomi Japan合同会社によって運営されています。
Boomiの特長は、ローコードで幅広いアプリケーションやデータソースとの連携ができ、クラウド、オンプレミス、ハイブリッド環境でのデータ統合を支援する点です。また、システム間のデータマッピングをAIを利用して提案する機能も提供しています。
特徴
- 30万種類以上のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- ユーザーコミュニティが用意されており、10万人を越えるユーザーと交流が可能
- 大規模なエンタープライズ企業向け
- 技術者向け
料金プラン
プラン | 無料トライアル (30日間) |
ベースエディション | プロフェッショナルエディション | プロフェッショナルプラスエディション |
---|---|---|---|---|
費用 | 0円 | 要問い合わせ | ||
ユーザー数 | – | – | – | – |
標準コネクタ(生産/テスト) | – | 2/該当なし | 5/5 | 7/7 |
サポート | – | 標準サポート | 標準サポート プレミアサポート |
標準サポート プレミアサポート |
※その他、エンタープライズエディションプランやエンタープライズプラスエディションもあります。
メリット
アメリカの企業が開発したツールですが日本語にも対応しているため、日本企業でも問題なく活用できます。また、10万以上のコネクタが用意されており、幅広い業務を自動化することが可能です。ドラッグ&ドロップで直感的に操作ができ、プログラミングの知識がなくても運用できます。
デメリット
操作画面は英語表記のため運用する担当者の英語スキルが求められます。また、連携可能なSaaSが海外製のものが多く、実際に自動化したい業務に対応できるのか確認が必要になります。大規模な企業向けのため複雑な設定ができる反面、技術者でないと習得と設定が難しいです。
Yoom
「Yoom(ユーム)」は、Yoom株式会社が開発・提供しているiPaaS製品です。Yoomは様々なSaaSと連携した、独自の業務ツールを作成できるノーコードプラットフォームで、シンプルで直感的なユーザーインターフェースのため、初心者でも運用が可能です。
また、データベース機能を保有しており、システム、メール、入力フォームなど社内の様々なソースから自動的に情報を集約し、業務に合わせたデータベースを作成できる点が特長です。
特徴
- AI・API・RPA・OCRなど様々な技術を組み合わせたツール
- 150種類以上のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- 国産のiPaaSなので操作画面やサポートは日本語対応
- データベースと連携でき、さまざまなツールの情報を1つにまとめることができる
料金プラン
プラン | フリー | ミニ | チーム | サクセス |
---|---|---|---|---|
月額費用 | 0円 | 9,600円 | 24,000円 | 48,000円 |
ユーザー数 | 3人 | 3人 | 10人 | 20人 |
タスク実行回数 | 100回/月 | 3,000回/月 | 10,000回/月 | 30,000回/月 |
作成フローのステップ数 | 5ステップ | 15ステップ | 無制限 | 無制限 |
フロー作成数 | 5個まで | 10個まで | 無制限 | 無制限 |
連携可能なアプリ | 一部のアプリ | 一部のアプリ | すべてのアプリ | すべてのアプリ |
独自APIとの連携 | – | – | あり | あり |
サポート | チャット | チャット | メール・チャット(優先対応) | メール・チャット・Web会議(月2回まで) |
メリット
ノーコードで操作が可能なので、プログラミングの知識がなくてもワークフローの作成が可能であり、80%以上の方が非エンジニアユーザーです。また、国産ツールのため操作画面は日本語での記載や日本語でのサポートを受けることができます。
細かい権限の設定が可能で、フローボットごとに閲覧・編集権限を設定することができ、操作ミスによるトラブルを回避できます。
さらに、データベースが使えるため、複数サービスから得られるデータをyoomの画面上で集約して閲覧することができ、データ集計等を他のサービスで行う必要がありません。
デメリット
ユーザー数が限られているため、20名以上の多くのメンバーで活用したい企業には向いていません。予めどの部署の何名の人がどのような業務で使うのか確認し、プラン内で活用できるか確認しましょう。
Anyflow Embed
「Anyflow Embed(エニーフローエンベッド)」は、Anyflow株式会社が提供しているiPaaS製品です。
SaaS事業者が利用するためのサービスとなっており、SaaS事業者のプロダクトと他社SaaS間のAPI連携を最短1週間でユーザーに届けるための組み込み型iPaaSです。
特徴
- 国産iPaaSのため、操作画面やサポートは日本語対応
- ノーコードで直感的な操作で使用できる
- 70種類のクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
料金プラン
プラン | Anyflow Embed |
---|---|
初期費用 | 要問い合わせ |
月額費用 | 要問い合わせ |
メリット
操作画面は日本語で分かりやすく、プログラミングの知識は不要です。また、サポートも日本語で受けることができるため、不明な点があったらすぐに解決できます。
国内外のSaaSを広く連携しているため、自動化したい業務フローを実現しやすいツールです。実際に実現可能かどうかは導入前にベンダーに問い合わせ確認しましょう。
デメリット
2024年9月時点では、一般企業向けの「Anyflow」は新規受付が停止されているため、申し込みができません。SaaS事業者向けのAnyflow Embedのみ申込み可能となっています。
make
「make(メイク)」は、Celonis, Inc.が提供しているiPaaS製品です。特長は、ノーコードツールのため直感的操作が可能なため、複数のアプリケーション間でワークフローを簡単に自動化できる点と、フローの自動化のためのテンプレートが豊富に用意されており、比較的簡単に設定することができます。ただし、英語のみの対応になります。
特徴
- ドラッグ&ドロップの直感的な操作で使用できる
- 1,000種類ものクラウドサービス・アプリケーションが連携可能
- 未連携でもAPI情報が公開されているSaaSとの連携ができる
- 英語対応のみ
料金プラン
プラン | Free | Core | Pro | Teams |
---|---|---|---|---|
月額費用 | $0/月 | $9/月~ | $16/月~ | $29/月~ |
契約期間 | 制限なし | 年間契約 | 年間契約 | 年間契約 |
オペレーション | 1,000/月 | 10,000/月 | 10,000/月 | 10,000/月 |
ビジュアルワークフロービルダー | あり | あり | あり | あり |
無制限のアクティブシナリオ | – | あり | あり | あり |
全文実行ログ検索 | – | – | あり | あり |
チームと権限 | – | – | – | あり |
シナリオテンプレートの作成・共有 | – | – | – | あり |
シナリオテンプレートの作成・共有 | – | – | – | あり |
セキュリティ強化 | – | – | – | – |
サポート | △ | 〇 | 〇 | ◎ |
※その他、Enterpriseプランもあります。
メリット
オペレーションの量で月額費用が変動するため、使う頻度は少ないけど機能を活用したいという方は費用を抑えて活用することが可能です。また、複数のプランが用意されているため、どのレベルの機能が必要なのか、運用担当者の能力に合わせてどれほどのサポートが必要かを検討し、企業にあったプランの選択が可能です。
デメリット
利用できる言語がチェコ語か英語で日本語は対応していないため、利用者の英語能力が必要になります。日本語での操作画面やサポートを必要としている方は不向きなツールです。
MuleSoft Anypoint Platform
「MuleSoft Anypoint Platform(ミュールソフト エニーポイントプラットフォーム)」は、Salesforce社が提供しているiPaaS製品です。もともとMuleSoft社が開発・提供していましたが、2018年にSalesforceに買収されました。
Anypoint Platformの特長は、SaaSやオンプレミス環境でのアプリケーションとデータの統合を簡単にできる点で、特に大規模な企業向けに設計されています。
特徴
- Salesforceの各製品と連携しやすい
- クリック操作やコードで業務フローの自動化が可能
- すぐに使えるワークフローのテンプレートが用意されている
- 対応言語が英語のみ
- 大規模企業向け
料金プラン
プラン | 無料トライアル(30日間) | 他プラン |
---|---|---|
初期費用 | 0円 | 要問い合わせ |
月額費用 | 0円 | |
サポート | ヘルプセンター、コミュニティ、チュートリアル(すべて英語) |
メリット
さまざまなサービスと連携ができるサービスですが、その中でもSalesforceと他SaaS・アプリケーションとのデータ連携がコーディング不要で簡単に連携可能です。Salesforceユーザーにとっては、データ連携機能が充実しておりCRMでの業務がよりスムーズに行えるメリットがあります。
また、認定講師によるトレーニングを受けることが可能です。しかし、基本的には費用がかかるうえ英語での実施のため、受講をして理解できるか運用者の英語力によって検討する必要があります。
デメリット
操作画面やヘルプセンター等は英語のため運用者の英語力が必要になります。はじめて導入される方にはハードルが高いと感じる可能性が高いです。
Informatica Intelligent Data Management Cloud(IDMC)
「IDMC(Informatica Intelligent Data Management Cloud)」は、アメリカのInformatica Inc.が開発・提供しているiPaaS製品です。日本では、インフォマティカ・ジャパン株式会社が運営しています。。IDMCは、データの統合、品質管理、ガバナンス、分析をクラウドで一元管理できるソリューションです。データを効果的に活用し、ビジネスの意思決定を支援するために設計されており、特に大規模企業向けの高度なデータ管理が可能です。
特徴
- クラウド・オンプレミスのサービスにデータ連携が可能
- ノーコードで活用可能
- 数百種類のSaaSと連携が可能
- 大規模企業向け
料金プラン
プラン | Data Loader | Cloud Data Integration | Intelligent Data Management Cloud |
---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 | – |
月額費用 | 0円 | 0円 | 従量課金(要問い合わせ) |
ユーザー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
サポート | コミュニティ | コミュニティ,ライブチャット | コミュニティプレミアム,シグネチャーセレクト |
スケジュール実行 | あり | あり | あり |
シングルサインオン | – | – | あり |
メリット
連携したいSaaS・アプリケーションや設定をクリックしていくだけでワークフローを作成することができます。さらに条件分岐などの設定も可能で、複雑なワークフローを自動化することもできます。
デメリット
従量課金制のため多くの作業を自動化する場合、多くの費用がかかってしまうことがあります。導入前にどれだけワークフローを動かす必要があるのか、その際にかかる費用はどれだけなのかを確認し、導入を検討する必要があります。
また、操作画面は英語表記のため運用者の英語力が必要です。
TROCCO
「TROCCO(トロッコ)」は、株式会社primeNumberが開発・提供しているiPaaS製品です。ETL(Extract, Transform, Load)機能を備え、データ統合と変換を簡単に行うことができます。ノーコードでデータパイプラインを構築し、複数のデータソースからのデータをシームレスに統合することで、リアルタイムのデータ管理と分析が可能です。簡単なデータ加工であればノンプラグラミングでの開発できます。
特徴
- 国産のETLツール
- 未連携でもAPI情報が公開されているSaaSとの連携ができる
- 約100種類のDB、ストレージ、SaaSと連携が可能
料金プラン
プラン | Free | Starter | Essential | Advanced |
---|---|---|---|---|
月額費用 | 0円 | $459 | 15万円(税抜き) | 30万円(税抜き) |
ユーザー数 | 不明 | 最大5名まで | 無制限 | 無制限 |
ジョブ処理 | 4時間まで/月 | 30時間まで/月 | 250時間まで/月 | 600時間まで/月 |
ワークフロー機能 | あり | – | あり | あり |
使用可能なコネクタ | すべてのコネクタ | 基本コネクタ(約90種) | 基本コネクタ(約90種) | すべてのコネクタ |
同時実行数上限 | 5 | 10 | 20 | 50 |
サポート | メール | メール | メール、Slackでの専属サポート | メール、Slackでの専属サポート |
※その他Professionalプランもあります。
メリット
GoogleやYahoo!、SNSの広告とも連携をしているため、広告レポートをBIツールやダッシュボードに自動連携することが可能です。また、HTTPコネクタを用意しており、TOROCCOが連携できていないSaaS・アプリケーションでもAPI情報を公開しているサービスであれば連携することが可能です。
また、操作画面やサポートが日本語のため、使いやすい点も大きなメリットです。
デメリット
従量課金制のため多くの作業を自動化する場合、多くの費用がかかってしまうことがあります。導入前にどれだけワークフローを動かす必要があるのか、その際にかかる費用はどれだけなのかを確認し、導入を検討する必要があります。
また、操作画面は英語表記のため運用者の英語力が必要です。
JOINT iPaaS for SaaS
「JOINT iPaaS for SaaS」は、株式会社ストラテジットが開発・提供しているiPaaS製品です。主にSaaS事業者の⾃社プロダクトと他SaaSとの 連携開発‧管理‧運⽤ が可能となっています。ノーコードで簡単に操作でき、多数のSaaSアプリケーション間でシームレスなデータ統合を実現できます。
特徴
- 国産のiPaaSなので操作画面やサポートは日本語対応
- ノーコードで簡単に連携可能
- 約30種類のSaaSと連携が可能
- SaaSベンダー向けのサービス
料金プラン
プラン | Basic | Standard | Pro |
---|---|---|---|
連携実行回数による従量課金 | 10,000円/10,000回 | 5,000円/10,000回 | 10,000円/10,000回 |
ユーザー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
連携アプリ | ~2/月 | ~10/月 | ~50/月 |
※その他、Enterpriseプランもあります。
メリット
SaaS事業者にとっては、自社サービスを他のSaaS・アプリケーションと連携するために開発を行うことなく連携可能になるため、導入企業の増加につながります。さらに、最短1週間で開発してくれるため、時間をかけずに連携を行うことが可能です。
現在JOINTで連携しているサービスは約30種類あり、会計システムや給与システム、勤怠システムなどのバックオフィス系SaaSから、CRMやビジネスチャットと連携しており、自社サービスがそれらのサービスと連携することでメリットがある場合はJOINTの導入はおすすめです。
デメリット
一般企業向けのサービスは今後提供予定のため、自社導入を検討中の方はすぐに導入はできません。
JENKA
「JENKA(ジェンカ)」は、スターティアレイズ株式会社が開発・提供しているiPaaS製品です。
JENKAの特長は、専門知識や技術が不要なノーコードで、企業の実務担当者がさまざまなクラウドサービスやアプリケーションと連携し、自動化を簡単に実現できる点です。また、日本企業のニーズに合わせた柔軟な対応が可能で、業務効率の向上をサポートする強みがあります。
フリープランがあり、0円から利用することができます。
また、SaaS事業者向けとしても提供しており、SaaS事業者、一般企業どちらも利用することが可能です。
特徴
- 国産のiPaaSなので操作画面やサポートが日本語対応
- ドラッグ&ドロップの直感的な操作で使用できる
- ユーザー数無制限のため複数の部署で活用可能
- RPAと連携しておりAPI連携が不可能なサービスの自動化も可能
- 初期費用・月額費用0円のフリープランから利用が可能
- JENKA内にコネクタがなくてもAPI情報が公開されているSaaSとの連携ができる
料金プラン
プラン | フリー | 無料トライアル(2週間) | スタンダード |
---|---|---|---|
初期費用 | 0円 | 0円 | 100,000円 |
月額費用 | 0円 | 0円 | 50,000円 |
ユーザー数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ワークフロー作成数 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
コネクタ認証数 | 5 | 10 | 50 |
コネクタ実行回数 | 300回 | 1,000回 | 45,000回 |
グループ管理 | あり | あり | あり |
サポート | ヘルプサイト | ヘルプサイト、お問い合わせ窓口 | ヘルプサイト、お問い合わせ窓口 |
メリット
直感的な操作で使用できるため、情報システム部門がない企業やプログラミングの知識がない担当者でも活用可能です。
ワークフロー作成数やユーザー数が無制限のため、複数の部署を跨いで活用したい場合やいくつものワークフローを動かしたいという企業におすすめです。
また、未連携のSaaS・アプリケーションであってもAPI情報が公開されているツールであれば連携できる機能があります。連携したいSaaSがあるがある方はまずは問い合わせて確認してみましょう。
デメリット
連携可能なサービスが少ないため、どのような業務を自動化したいのか予め確認する必要があります。
iPaaSの選び方のポイント
iPaaSの導入を検討するにあたり、製品を選ぶ重要なポイントを4つ紹介いたします。
1.連携サービスの有無
業務フローを自動化するために必要なSaaS・アプリケーションが簡単に連携可能かどうか事前に確認する必要があります。例えば、Salesforce、Google Workspace、Microsoft 365など、よく使うSaaSとデータ連携ができるかどうか確認が必要です。
「低価格だから」「多くのSaaSと連携しているから」という理由で導入を決めてしまうと、実際に自分が自動化したい業務のアプリケーションには対応していなかったということが発生してしまいます。
ベンダーによってはサービスサイトに連携可能なSaaSをすべて記載していない場合があるため、やりたいことが実現できるのか問い合わせることをおすすめします。
2.費用
課金形態がユーザー数ごと、ワークフロー数ごとなどツールによってさまざまです。どちらが合っているのか、費用を抑えることができるのかを確認しましょう。また、ワークフローの実行数によって超過費用が発生することがあるため予め確認をし、月額費用内でどれだけのことできるのかベンダーに相談することができると思うので、予算で収まるかどうかを確認することをおすすめします。
3.操作感
業務の実務担当者であれば、専門的なITスキルがなくても簡単にデータ統合や業務プロセスの自動化が実現できるノーコードツールを選択し、操作感を確認しましょう。
ツールによっては英語表記であったり、サポートが別料金であったり、多少のプログラミングの知識が必要であったりとそれぞれ特徴があります。運用する担当者のスキルに合わせて運用が問題ないか事前の確認が必要です。
どのツールもトライアルやフリープランが用意されており、無料で試すことができるため、使ってみたいツールがあれば申込をしましょう。
4.サポート体制
はじめての導入の場合や複雑なワークフローを組む必要がある場合はサポートを必要とすることがあります。ヘルプサイトの用意はあるのか、問い合わせは可能なのか、サポート費用は追加で発生するのかを確認し、不明点が見つかった際やトラブルが発生した際の対応について予め把握しておくことをおすすめします。また、トライアル期間にもサポートを受けることができる場合があるので、可能であればサポートを利用して課題が解決できるのか確認しましょう。
iPaaS導入の3ステップと注意点
STEP1:業務の洗い出し
自動化したい業務フローではどういった手順でどのようなサービスが関わっているかを洗い出します。その後、どういった頻度で発生しているのかを確認し、どれだけの工数が削減できるのか算出すると費用対効果を測定しやすいです。
STEP2:フリープラン・トライアルで試す
自動化したい業務の洗い出しが完了したら実現が可能か無料のフリープランやトライアルを活用して確認しましょう。その際にサポートを受けることができれば、実現したい業務について相談したり、他の活用方法などを聞いてみてイメージを膨らませるなどをしてみるのも良いと思います。
STEP3:本格導入
お試し利用で運用可能だということが分かったら、自社にあったプランを選択し導入し、業務フローの自動化で生産性の向上を実現しましょう。
まとめ
デジタル化やDX化を推進している企業では、複数のSaaSを活用しているケースが多く管理ができていないことやSaaS間でのデータ連携がスムーズに行えず、逆に工数が増えてしまっていたり、手間になっていたりすることがあります。
iPaaSは、複数のシステムやアプリケーションをシームレスに統合し、データの流れを効率化するために不可欠なツールです。
iPaaSを活用することで今まで活用していたSaaSの最大限の効果を発揮させることができるうえ、業務フローの自動化が実現し生産性を向上させることが可能です。
今回ご紹介した14のiPaaS製品は、それぞれ特有の強みやデメリットを持っており、企業のニーズに応じた選択が重要です。最適なiPaaSを導入することで、業務効率の向上やデジタル化の推進を実現できます。導入に際しては、製品の特徴やコスト、サポート体制を十分に検討し、自社に合った最適な製品を選択してください。
自社の運用にあったツールを見つけ、DX推進を加速させましょう。
弊社では本記事で紹介させていただいた「JENKA」を提供しており、無料のフリープランからご利用いただけるため、お気軽にトライしてみてください。